10月も後半となり、朝夕と冷え込みを感じる季節になってきました。
読書の秋、芸術の秋、いろいろな秋がありますが、
さわっちの感動の中国に続いて、私も中国で感動したことを1つ。
息子夫婦を訪ねて中国へ行った時のこと。
気持ちのいい一日で、皆で近くの公園へ散歩に行きました。
上にある寺院の広場まで行ったら、一人の老人が黙々と地面に水筆で字を書いていました。
竹箒のような長い柄の筆先に、バケツに汲んだ水をつけて、見事な楷書で詩を書いていらっしゃったのです。
地面といってもコンクリートなので、水筆で書いた美しい文字は、くっきりと鮮やかにうつります。
スポンジのような太い筆先から、どうしてあのような美しい筆運びが出来るのか不思議ですが、
その人の書く20p四方の一文字一文字は、端正で無駄がなく、素晴らしいものでした。
次から次へと長く続く文字は、最初に書いた部分は、もう水が蒸発して消えています。
初めは何かのパフォーマンスかと思って見ていたのですが、
広場にいる人達は、あまり老人に関心もなく、一人二人の人が眺めているだけです。
こうした風景は中国では珍しくないそうです。
普通の人々が自分の楽しみ・趣味で、広場や公園で、こうして水筆を使って書道をしているのです。
誰に見せるでもなく、残すでもなく、数分後には消えてしまう文字を、
ただ一心にコンクリートの上に長文の詩を書いていく。
日常の生活の中にそのような習慣というか文化があるということに、とても感動しました。
文化が特別のものとしてではなく、普段の生活の中に溶け込んで、
人から人へと繋がれていくのは、尊いことだと思います。
いよいよ紅葉の季節。
美しい季節の到来です!
最近、災害が多くなっていますが、穏やかな日々が続くことを願うばかりです。